二回目デートの会話|深める必要はありません。増やすのは質問1種類

夜のテーブルに置かれた二つのグラスと、少し離れて置かれた手元 実践・距離感

「二回目は、一回目より踏み込んだ話をする回だ」。
そう考えて、話す内容をいくつか用意したところだと思います。

踏み込む先を間違えています。
踏み込むのは話題の深さではなく、相手がその場で口にした一言です。

先に結論をお伝えします。二回目で増やすものは、話題の数でも深さでもありません。
直前の発言に乗る質問、この一種類だけです。

1,961件のデート会話を解析した研究で、次に会う約束と結びついていたのは、この型の質問だけでした。
用意してきた話題に移す質問は、結びついていません。

結論だけ先に

  • 増やすもの/直前の発言の続きを訊く質問。これ一種類だけ
  • 減らすもの/用意してきた話題。出すほど間が空きます
  • 深さ/自分から先に上げない。相手が上げたときに一段だけ合わせる
  • 持ち帰り/一回目から固有名詞を3つ。二回目で使うのは1つ
  • 配分/質問2回につき、自分の話を1回。自分の話は3文まで

二回目に間が空くのは、話題が尽きたからではありません

夜のテーブルで手が止まっているグラスと空いた間

質問には型があります。そして、次につながる型は一つしかありません。

ハーバード大の研究チームは、4分間のスピードデート1,961件分の会話を録音し、質問を型ごとに分類しました(Huang et al., 2017)。
結果として次のデートの承諾と結びついていたのは、直前の相手の発言の続きを訊く質問だけでした。

質問の型中身相手に伝わること
深掘りいま相手が言ったことの続きを訊く聞いていた
話題転換別の話に移す用意してきた
鏡返し同じ質問をそのまま返す間をつないだ

同じ一言への、二つの返し方

話題転換
相手「先月、部署が変わって」/自分「そうなんですね。休みの日は何をされてるんですか」

深掘り/相手「先月、部署が変わって」/自分「変わってみて、前と一番違うところはどこですか」

前者は、話題を1つ消費して次へ移しています。
後者は、同じ話題の中で相手をもう一段先へ進めています。

話題転換が効かない理由は、受け取った証拠が残らないからです。
質問した事実は残っても、聞いていた事実は残りません。

1回のデートで出る質問は平均9.8回。うち深掘りは4.51回でした。
深掘りの比率が8ポイント高い人は、20回のデートで承諾が1件多くなる計算になります。

話題を用意するという行為は、話題転換の質問を増やす準備です。増やしても、次にはつながりません。

私が10個のメモを使い切った日

私は以前、二回目の前夜に話題を10個メモしていきました。仕事、旅行、実家、休日の過ごし方。
90分で全部使い切って、そこから先が持ちませんでした。

原因は話題の数ではありません。
1つ出しては次に移していたので、相手の答えが伸びる前に会話が切り替わっていました。

この研究では、質問した本人は「質問を増やしても好かれるとは思っていない」という結果も出ています。効果があるのに、やる気になれない。だから差がつきます。

深い話は、こちらから先に出さないでください

少し距離を空けて並ぶ二人の肩のシルエット

相手を知る量が増えるほど好意が上がる。私たちはそう信じています。
実際には、逆向きのデータがあります。

ノートンらの研究では、相手について知る事実が増えるほど、平均的な好意は下がりました(Norton, Frost, & Ariely, 2007)。
オンラインで出会った人同士の、会う前と会った後の評価でも同じ傾向が出ています。

理由は、不一致が連鎖するからです。
合わない点が1つ見つかると、その後に知る情報も「やはり合わない」の材料として読まれます。

ただし、逆の結果も出ています

リースらは、実際に会って言葉を交わす場面では、親しさが増すほど魅力の評価が上がったと報告しています(Reis et al., 2011)。
2つの結果は矛盾していません。増えて損をするものと、得をするものが違うだけです。

増えると損をするもの
一方的に集めた事実。家族構成、前職、休日の過ごし方、結婚観。聞き出した数だけ、合わない点が見つかります

増えると得をするもの/やりとりの中で返した反応。相手の一言に乗った質問は、聞いていた証拠として残ります

深さには4つの段があります

話す内容
1|事実属性・経歴職種、出身、住んでいる街
2|習慣繰り返している行動朝の過ごし方、通っている店
3|判断選んだ理由・迷った点その仕事を選んだ基準
4|感情弱さ・後悔・不安続かなかった関係の話

一回目で交わすのは、ほとんどが1段と2段です。
二回目で入っていいのは3段まで。4段は、相手が先に出したときだけ合わせます。

3段が扱いやすいのは、判断には必ず理由がついてくるからです。
理由を訊けば、そのまま深掘りが1回入ります。

二回目で深さを上げるのは、相手が先に上げたときだけです。
相手が仕事の疲れを出したら、こちらも同じ段で返す。順番を逆にしません。

二回目で聞き出した事実の数と、相手の中に残る好意の量は、別のものです。

一回目から持ち帰るのは3つ。二回目で使うのは1つです

暗い机の上に置かれた手帳と万年筆

STEP 01

別れて15分以内に、固有名詞を3つ書く

店名、地名、人の名前、作品名。感想ではなく名前だけを書きます。
15分を過ぎると、名前は輪郭から消えます。改札を出る前に済ませてください。

STEP 02

前日に、3つのうち1つだけ選ぶ

選ぶ基準は「この2週間で状況が動いていそうなもの」です。
資格試験、引っ越し、仕事の繁忙期。動くものは、続きを訊けます。

STEP 03

最初の30分では出さない

冒頭に出すと、準備してきた報告になります。深掘りは、相手が話している最中に乗るから効きます。
中盤に一度だけ、話の流れが近づいたところで出してください。

3つに絞るのは、書き出す作業を10秒で終わらせるためです。5つ書こうとすると、その場で思い出せずに手が止まり、翌日へ持ち越して結局書きません。

「前に言ってましたよね」で相手が固まった話

私は一度、覚えていることを見せにいって失敗しました。
「前に○○って言ってましたよね」と切り出したところ、相手の返事が止まりました。

記憶の提示は、相手に確認を求める形になります。合っているか答える作業が発生します。
覚えていた事実を見せるのではなく、覚えていた前提で続きを訊いてください。

止まる訊き方続く訊き方
前に○○って言ってましたよねあれ、その後どうなりました
試験の話、覚えてますよ試験、もう終わりました
引っ越すって言ってましたっけ引っ越し、荷造り始めました

質問だけの人は、二回目で切られます

カウンターに並んだ二つのカップと交互に動く手元

深掘りだけに徹すると、会話は面接になります。
私はこれもやりました。90分間、相手に話させ続けて、次の約束が出ませんでした。

スプレッチャーらは156人(78組)を集め、自己開示のやり方だけを変えて比較しています(Sprecher et al., 2013)。
交互に開示した組は、片方が話し続けた組より、好意・近さ・楽しさのすべてが高くなりました。

同じ研究チームは、長いターンでまとめて話すより、すぐ交互に返すほうが好意が高いことも報告しています。
量ではなく、往復の回数です。

  1. 相手の話に乗る質問を2回続ける
  2. 3回目の前に、自分の話を3文だけ返す
  3. 返したら、また相手に戻す

3文の内訳は、事実1文・判断1文・相手へ戻す1文です。「私も去年、職場を変えました」「決め手は通勤時間でした」「そちらはどうでした」。この形なら、開示しながら相手に返せます。

自分の話が長い並び
質問1回 → 自分の話5分。相手は聞き役に固定され、次に会う理由が生まれません

往復が多い並び/質問2回 → 自分3文 → 質問2回。同じ90分でも、往復回数が倍以上になります

3文で足りない話は、二回目で話す話ではありません。

二回目の会話から、削るもの

削る4つ

過去の恋愛の確認
二回目で訊くと、査定として届きます。相手が自分から出したときだけ、同じ深さで返してください

仕事の深掘りの詰め
「なぜ」を3回続けると、深掘りは尋問に変わります。2回で止めて、感想を1つ返してください

店とメニューの解説
知識の披露は、相手の発言に乗っていません。話題転換の質問と同じ扱いになります

褒め言葉の連投
3回目を超えると、内容ではなく回数のほうが記憶に残ります。全体で1〜2回に抑えてください

二回目の沈黙は、一回目の沈黙と違います

削った分の時間は、間として残して構いません。
一回目の沈黙は、互いをまだ判断している最中の空白です。埋めないと不安が残ります。

二回目の沈黙は、もう一度会うと決めた相手との空白です。
黙っていられる相手だと分かることは、二回目で渡せるものの一つです。

埋めるときも、新しい話題は出しません。
「さっきの○○の話ですけど」と、相手が話していた場所へ戻すだけで足ります。

滞在時間は一回目+30分までを目安にしています。長くするほど、深さを上げる圧力が生まれます。

そして、二回目は距離が近づく回です。
言葉が届く距離では、言葉以外も届きます。

よくある質問

一回目に何を話したか、思い出せません

思い出せないまま行ってください。無理に確認すると、記憶違いのまま話が進みます。その場の発言に乗る質問だけで足ります。次回から、別れて15分以内にメモを取ってください。

二回目で結婚観や将来の話はしていいですか

相手が先に出したときだけです。こちらから出すと、二回目の会話ではなく面談になります。相手が出したら、同じ深さで自分の話を3文返してください。

沈黙が続くと不安になります

埋めようとして話題を出すと、そこで会話の流れが切れます。10秒までは待ってください。10秒を超えたら、直前に相手が話していた内容へ戻す一言を置きます。

敬語のままでいいですか

二回目は敬語のままで問題ありません。外す合図は回数ではなく、相手の話し方が2回続けて崩れたときです。こちらから先に崩すと、距離の詰め方が早い人として記憶されます。

深掘りする話題が、相手の仕事しかありません

仕事の話でも、事実ではなく判断を訊けば続きます。「何をしているか」ではなく「どこで迷ったか」です。判断には理由がついてくるので、2回目の深掘りが自然に入ります。

まとめ

  • 増やすのは、直前の発言に乗る質問だけ。話題転換は次につながらない
  • 深さは自分から上げない。相手が上げたときに一段だけ合わせる
  • 一回目から固有名詞を3つ持ち帰り、二回目で使うのは1つ
  • 持ち帰った1つは、最初の30分では出さない
  • 質問2回につき、自分の話を3文。往復の回数を増やす
  • 過去の恋愛・詰めの「なぜ」・知識の披露・褒めの連投は削る
  • 滞在は一回目+30分まで。沈黙は10秒まで待つ

二度目に効くのは、覚えていた事実ではなく、続きを訊く一言です。

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