シャツの一番上のボタン|決めているのは場面ではなく指2本

暗い部屋のハンガーに掛けられた白いシャツの襟元 清潔感・身だしなみ

シャツの一番上のボタンを、留めるべきか外すべきか。
それを確かめに来られたと思います。

留めるか外すかは、その日の場面で決めるもの。
そう覚えたまま、疑わずにきたはずです。

決めているのは場面ではありません。首回りの寸法です。
先に結論をお伝えします。留めるか外すかを選べるのは、シャツが合っている人だけです。

そして首回りは、本人が気づかないまま、1年で1cm前後動きます。

結論だけ先に

  • 判定基準/一番上を留めて、襟と首の間に指2本が入るか。入らなければマナー以前にサイズが合っていない
  • 適正寸法/首回りの実寸+2cm。これが指2本分のゆとりにあたる
  • 変化の速さ/体重1kg増で首回りは約0.5cm、綿100%のシャツは洗濯乾燥で約2%縮む。両側から寄ってくる
  • 外していい範囲/ネクタイなしのとき一番上だけ。二番目は開けない
  • 確認の頻度/週1回・10秒。留めた状態で指を入れるだけ

一番上のボタンは、マナーの部品ではありません

暗い部屋でハンガーに掛けられた白いシャツの襟元

シャツの一番上のボタンが留まっているのは、襟そのものではありません。首に沿って立ち上がっている帯の部分です。

この帯を台襟(だいえり)と呼びます。襟の羽根は、この帯の上に折り返して乗っているだけです。

台襟は、留めた状態で首に沿うように設計されています。
留めるのが標準の状態で、外すほうが例外です。

外したときに何が起きるか

ボタンを外すと、台襟は前後をつなぐ支えを失います。左右の帯が開き、その上に乗っている襟の羽根が寝ます。

襟が寝ると、顔の下にあった線が下がります。顔の輪郭を支えていた枠が、一段落ちるということです。

※ 襟の羽根が長いもの、台襟が高いものは、外しても形が残ります。この差は後半で扱います。

つまり、留めるか外すかで動いているのは行儀ではなく形です。
そして形が保てるかどうかは、その日の場面ではなく、シャツの寸法が決めています。

留まらなくなるのは、シャツと体が同時に動くからです

買ったときは留まったシャツが留まらないとき、動いたのは片側ではありません。シャツと体が、両側から寄ってきています。

体側の数字から出します。
メーカーズシャツ鎌倉の創業者が公開している目安では、体重が1kg増えると胴回りは0.8〜1cm、首回りは約0.5cm大きくなります。

シャツ側も動きます。綿100%の生地は洗濯と乾燥で約2%縮みます。首回り40cmなら0.8cmです。

さらに縮むのは生地だけではありません。襟・袖口・前立てには芯地が入っており、樹脂で接着したタイプは熱で縮みます。

動くもの1年で動く量の目安
体重2kg増首回り+約1cm
綿100%の洗濯・乾燥約2%(40cmで0.8cm)
接着芯の高温プレス160℃で10回で3%弱(約1cm)

並べると分かります。適正とされる実寸+2cmのゆとりは、体重2kgと洗濯の縮みだけで消えます。

どれも1cm未満です。
1回では起きません。20回、30回と洗って、その間に体重が動いて、ある日届かなくなります。

やりがちな判断
「太ったわけじゃない。シャツが縮んだ」
「首が短いから似合わないだけだ」
どちらも半分しか見ていません。両側が同時に動いています。

首回りだけ、変化に気づく仕組みがありません

低い光の下で襟元に指を入れてゆとりを確かめる男性の手元

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

ウエストが増えたことには気づきます。ベルトの穴が1つずれるからです。
穴という目盛りが、体に毎日当たっています。

首回りには、その目盛りがありません。

0.5cmは、首では感じ取れません。ベルトなら穴1つ分の差が、首では何も起きないまま通過します。

外している間、目盛りは止まっている

そして、一番上のボタンを外したまま過ごしている人は、その目盛りに触れていません。

クールビズが定着し、ネクタイを締める日は減りました。
年に数回しか留めないなら、確認の機会も年に数回です。

判明するのは、結婚式、葬儀、面接。やり直しがきかない日ばかりです。

私の失敗

私は通夜の朝に、それをやりました。
2年ぶりに出した黒いシャツの一番上が、あと5mmで届かなかったんです。

ネクタイで隠して行きましたが、留まっていないので結び目が上がりきりません。
写真を見返すと、そこだけ首が浮いていました。

体重は3kg増えていました。心当たりはあったのに、首と結びつけていませんでした。

この記事で置き換える判断/一番上のボタンは、留めるか外すかを選ぶ装飾ではありません。首回りの変化を検出する、唯一の目盛りです

外していいのは一番上だけ。襟型で見え方が変わります

暗い背景に並ぶ襟型の異なる3枚のシャツの襟元

寸法が合っている前提で、場面の話に移ります。

ネクタイを締めるなら、例外はありません

ネクタイを締める日は、一番上まですべて留めます。ビジネスでも、式でも、葬儀でも同じです。

理由は形です。ネクタイの結び目は、留まった台襟が左右から支えることで、あの位置に収まります。
留めなければ、結び目は台襟の中に沈みます。

ネクタイなしなら、一番上を1つだけ

ネクタイを締めない日は、一番上のボタンを外します。
ただし、外すのは1つまでです。

二番目まで開けると、台襟だけでなく前立ての上部まで開きます。襟が完全に倒れ、インナーの襟が出ます。

ここで効いてくるのが襟の設計です。外しても形が残る襟と、残らない襟があります。

襟型一番上を外したとき
レギュラーカラー開きが狭く、羽根が内側に倒れやすい。ネクタイ向き
セミワイド・ワイドカラー羽根が横に広がり、ジャケットの下に収まる。ノーネクタイ向き
ボタンダウン羽根の先が留まっているため倒れない。外して着る前提の設計
台襟の高いタイプ帯そのものが自立するため、外しても首元の線が残る

外していいかどうかは、その日の気分ではなく、その襟が外された状態を想定して作られているかどうかで決まります。

私は手持ちのレギュラーカラーを2枚まで減らしました。ネクタイを締める日にしか着ないからです。

ジャケットを羽織る日は、もう1点あります。
後ろ襟がジャケットの襟から1.5cm前後のぞくのが、標準的な収まりとされています。

※ 台襟が低いシャツは、ジャケットを着ると後ろ襟が隠れます。首の後ろで線が途切れ、肩が丸く見えます。

週に1回、10秒でやる確認手順

やることは4つです。道具はメジャー1本、費用はかかりません。

STEP 01

週1回、着る前に一番上を留める(10秒)

外して着る日でも、いったん留めます。留めるためではなく、測るためです。曜日を決めてください。私は月曜にしています。

STEP 02

襟と首の間に、指を2本たてに入れる

人差し指と中指を、爪を首側に向けて差し込みます。すっと入れば適正です。1本しか入らなければ小さく、3本入るなら大きすぎます。

STEP 03

入らなければ、月1回の実測に切り替える

メジャーを、のどぼとけのすぐ下に水平に回します。強く締めず、皮膚に触れる程度で読みます。これが実寸です。

STEP 04

実寸+2cmで買い替える

実寸37cmなら39cm、実寸39cmなら41cmを選びます。+1cmは締まって見えますが、ネクタイを締める日はのどが苦しくなります。+3cmを超えると首元が余ります。

縮ませない側の管理

  1. 襟の裏を触り、表裏がぴたりと張り付いていれば接着芯。熱に弱いタイプです
  2. アイロンは襟から先にかけ、当てる時間を短くします。同じ場所に長く置くほど縮みます
  3. クリーニングに出すときは、仕上げの温度を下げられるか相談します。店によって選べます

それでも縮みは止まりません。
止められないからこそ、週1回の10秒を先に置きます。

開いた首元には、何も足さない

暗い室内で第一ボタンを外したシャツの首元と肩のシルエット

最後に、外したあとの話をします。

一番上を外すと、首の付け根が外気に触れます。首から胸の上部は皮脂腺が多く集まっている場所で、体温も高い部位です。

ここで多くの人が、開いたぶんだけ何かを足そうとします。
インナーの色を変える。ネックレスを入れる。香りを乗せる。

開いた場所は、置き場所ではありません。外したという事実だけで、すでに1つ足しています。

香りについて言えば、首元は温度が高いぶん立ちのぼりやすく、量の調整がいちばん難しい場所です。
近づいた相手にだけ届けばいい香りを、首に置く理由はありません。

つける場所と量については、別記事に手順を書きました。

よくある質問

一番上のボタンは「第一ボタン」ではないと聞きました

呼び方が2通りあります。台襟についている一番上を台襟ボタンと呼び、その下から第一ボタンと数える流儀と、一番上を第一ボタンと数える流儀です。この記事では混乱を避けるため、すべて「一番上のボタン」で通しています。

首が苦しいとき、襟を広げる器具を使ってもいいですか

その日をしのぐ道具としては使えます。ただし器具で広げているのは前側の1点だけで、襟の全周は広がりません。使い続けると、寸法が合っていないという情報そのものが消えます。買い替えまでの一時的な措置に限ってください。

ボタンダウンのシャツは、一番上を留めてもいいですか

留めても問題ありません。ボタンダウンは襟先が留まっているぶん、外しても形が崩れにくい襟です。留めるか外すかを自由に選べる数少ない襟型で、寸法さえ合っていればどちらでも成立します。なお襟先の小さなボタンは、常に留めてください。

外したときにインナーが見えてしまいます

襟の開きより深い首まわりのインナーを選びます。丸首は多くの場合、開いた襟の内側に出ます。加えて、白いインナーは肌との差が大きく輪郭がはっきり出るため、肌の色に近いものを選ぶと目立ちません。

縮んでしまったシャツは元に戻せますか

生地そのものの縮みは、アイロンをかけながら引き伸ばすことで多少戻る場合があります。ただし襟の芯地が熱で縮んだ場合は戻りません。首回りが1cm縮んだシャツは、ワンサイズ小さいシャツになったと考えて入れ替えてください。

留めた首元は、堅苦しく見えませんか

堅苦しく見えるのは、留めた状態ではなく、留めて苦しそうな状態です。指2本のゆとりがあれば、首の皮膚は襟に押されません。同じ「留めている」でも、寸法が合っているかどうかで見え方は変わります。

まとめ

  • 留めるか外すかを選べるのは、寸法が合っている人だけ
  • 適正は実寸+2cm。留めて指2本が入るかで判定する
  • 体重1kgで首回りは約0.5cm、綿100%は洗濯乾燥で約2%縮む
  • どちらも1cm未満なので、その日には気づけない
  • 首回りには、ベルトの穴にあたる目盛りがない
  • 外したまま過ごす期間は、測っていない期間になる
  • 週1回・10秒、留めて指を入れる日を決める
  • ネクタイありは全部留める。なしのときは一番上を1つだけ
  • 外して形が残るかどうかは、襟型が先に決めている
  • 開いた首元に、何かを足して埋めない

首元は、開ける場所ではなく、合わせる場所です。

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