「床屋は安い。美容室はおしゃれ」。どちらに行くかを、その2択で考えていると思います。
全国平均で見ると、その差は561円です。
先に結論をお伝えします。法律が分けているのはカミソリ1本だけで、その1本が触るのは髪ではありません。
眉と、もみあげと、襟足と、耳のまわりです。
つまり差が出るのは、髪型ではなく輪郭です。法令と統計から順に説明します。
結論だけ先に
- 法律上の差/カミソリでの顔そりができるのは理容師だけ。残る違いは実質これ1点
- カット・パーマ・カラー/2015年の通知以降、どちらでも受けられる
- 料金/理髪料3,797円、カット代4,358円。差は561円(2025年・県庁所在都市平均)
- 両方の許可を持つ店/全国で381件。38万件のうちの381件
- 答え/どちらかを選ぶのではなく、2か月を「形」と「輪郭」に分けて2軒使う
床屋と美容室の違いは、法律上カミソリ1本だけです

両者を分けているのは、二つの法律です。条文の言葉が、そのまま役割の差になっています。
条文が定めている目的
理容師法は、頭髪の刈込みや顔そりによって容姿を「整える」ことと定めています。
美容師法は、パーマネントウェーブや結髪、化粧によって容姿を「美しくする」ことと定めています。
整えるか、美しくするか。ここだけ読むと、住み分けは明確に見えます。
ところが実務の線引きは、2015年に大きく動きました。
2015年に、カットとパーマの制限は消えました
2015年7月17日、厚生労働省が新しい通知を出しました。内容は2行です。
- 理容師がパーマネントウェーブを行って差し支えない
- 美容師がカッティングを行って差し支えない
同時に、1978年から続いていた古い通知が廃止されました。
そこには「女性へのカットは美容師」「男性へのパーマは理容師」という、性別による棲み分けが書かれていました。
つまり「男が美容室でカットだけ頼むのは筋違い」という感覚は、40年以上前の通知の名残です。現在その制限はありません。
残ったのは、刃物の1本だけです
カット、パーマ、カラーの制限が消えて、最後まで残ったのがシェービングです。
カミソリを使った顔そりは、理容師の業務範囲とされています。
美容師にまったくできないわけではありません。1948年の通知で「化粧に附随した軽い程度の顔そり」は認められています。
ただしこれは化粧の一部としての範囲で、独立したメニューとしてのシェービングは含まれません。
| 受けられる施術 | 理容室(床屋) | 美容室 |
|---|---|---|
| カット | ○ | ○ |
| パーマ | ○ | ○ |
| カラー | ○ | ○ |
| カミソリでの顔そり・ヒゲそり | ○ | × |
| まつげエクステ | × | ○ |
法律が線を引いているのは、髪ではなく肌です。
見分けるのは看板ではなく、料金表の1行です

赤・青・白のサインポールが目印、という覚え方があります。
これは半分しか当たりません。今は内装で判別できない店が増えました。
確実なのは、入る前に料金表を見ることです。3秒で終わります。
STEP 01
「シェービング」「顔そり」の行を探す
単独メニューとして料金が書いてあれば理容室です。ヒゲそりが1,000〜2,000円台で並んでいます。
STEP 02
店内の掲示を見る
保健所への届出は「理容所」か「美容所」で、店内に掲示されています。レジ横か入口付近にあります。
STEP 03
両方あるかを確認する
まれに両方の許可を持つ店があります。ただし数は多くありません。次の章で実数を出します。
価格差は561円。減っているのは店の数で、できることではありません
2025年・県庁所在都市の平均
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 理髪料(理容室) | 3,797円 |
| カット代(美容室) | 4,358円 |
| 差額 | 561円 |
561円です。ここで店を決めるほどの差ではありません。
そして「床屋のほうが安いから雑」という理屈も、この数字では成立しません。
店の数は、20年で逆方向に動きました
| 時点 | 理容所 | 美容所 |
|---|---|---|
| 2004年3月末 | 140,130件 | 210,795件 |
| 2025年3月末 | 107,995件 | 277,752件 |
理容所は3万件以上減り、美容所は6万件以上増えました。
街を歩いていて床屋が目に入らなくなったのは、体感ではなく事実です。
ただし、減ったのは店舗数です。法律で認められている業務範囲は、2015年以降むしろ広がっています。
減っているのは、腕ではなく後継者です
2024年度の新規開業は、理容所1,305件に対して美容所12,433件でした。開きは約10倍です。
働き手も、理容師19万4,531人に対して美容師58万8,291人です。
1施設あたりの技術者数は、理容所1.80人、美容所2.12人。
理容所の多くは、ひとりで店を回している個人店です。
この数字が示しているのは、事業承継が進んでいないという構造です。技術が要らなくなった、という話ではありません。
減ったのは店の数であって、そこでできることではありません。
両方の許可を持つ店は、全国で381件です
理容所と美容所の両方の許可を持つ重複施設は、全国で381件です。
理美容を合わせた施設数は38万5,747件ですから、割合は0.1%に届きません。
「1軒で全部やってもらう」という前提で店を探すと、選択肢がほぼ消えます。ここが設計を分ける分岐点です。
印象を決めているのは髪型ではなく、輪郭の4か所です

私は5年ほど、2か月に1度だけ美容室でカットする生活を続けていました。
トップの形は毎回きれいに決まります。それでも、人に撮られた写真を見ると顔まわりがぼやけて見えました。
原因を探して、写真を並べて比べました。
崩れていたのは髪型ではなく、次の4か所でした。
- 眉尻から下、こめかみに散る毛
- もみあげの下端の線
- 襟足の生え際
- 耳の上と、耳のふちに沿った産毛
この4か所は、どれも髪型の内側ではありません。顔と髪の境界線です。
切った線と、剃った線は別物です
ハサミとバリカンは、毛を短くする道具です。短くなっても、断面は肌の上に残ります。
近くで見ると、境界がグレーの帯に見えます。
レザーは、毛を肌の面まで落とします。帯が消えて、境界が1本の線になります。
この差が、正面から見たときの輪郭のはっきりさを分けます。
眉は、どちらでも触れます
眉の毛を切って整えることは、美容室でも受けられます。
分かれるのは、眉の下や眉間に散った産毛をカミソリで落とせるかどうかです。
眉そのものの形が同じでも、まわりに産毛が残っていると輪郭が二重に見えます。
眉が薄く見える原因は、眉ではなく周囲にあります。
整って見える人/髪の終わりかたが線になっている。眉と髪の間に、無地の肌の面がある
ぼやけて見える人
髪型は決まっているのに、こめかみと襟足がグレーの帯になっている
見られているのは、髪型ではなく髪の終わりかたです。
2か月を「形」と「輪郭」に分けて、2軒使います

カットの周期は2か月で足ります。問題は、後半3週間の輪郭です。
そこを理容室で埋めます。
STEP 01
0週目|美容室で形をつくる
カットのみで4,000〜5,000円台、所要60〜90分。ここでは輪郭ではなく、髪型そのものを任せます。
STEP 02
5週目|理容室で輪郭だけ整える
顔そり+襟足+もみあげ+耳まわりで、2,000〜3,500円、所要20〜40分。カットは頼みません。
STEP 03
8週目|美容室に戻る
ここで1周です。追加の負担は月あたり1,000〜1,750円、時間は月20分ほどになります。
私はこの形にしてから、写真の写りが変わりました。
髪型は何も変えていません。変えたのは、輪郭に触る回数だけです。
予定を決めるのは美容室、印象を決めるのは輪郭です。
顔そりを初めて予約する日に、やってはいけない3つ
1|当日の朝、自分で剃ってから行く
同じ面を2度削ることになります。前日の夜までに済ませるか、そのまま行きます
2|大事な予定の当日に入れる
肌の赤みが引くまでの余裕をとります。48時間前に済ませておくと安全です
3|「全部お願いします」と言う
眉まで任せると細くなります。「眉は輪郭だけ、長さは触らないでください」と伝えます
私は1回目に3つ全部やりました。眉が細くなり、頬がひりつき、その日の夜に人と会う予定が入っていました。
覚えたのは、店の選び方ではなく伝え方でした。
香りをつける人へ
剃った直後の肌に、アルコールの強い香水を直接のせないでください。
顔まわりを避けて、手首や胸元に少量だけにします。
よくある質問
床屋でもパーマやカラーはできますか。
できます。2015年7月の通知で、理容師がパーマネントウェーブを行うことに制限はなくなりました。カラーはもともと双方が行える施術です。
美容室で顔そりを頼めませんか。
カミソリを使ったシェービングは理容師の業務範囲です。美容師が行えるのは化粧に付随する軽い程度の顔そりまでで、独立したメニューとしては提供されません。
1軒で両方受けられる店はありますか。
あります。理容所と美容所の両方の許可を持つ重複施設は全国で381件です。ただし理美容合わせて38万5,747件のうちの381件で、近所にある確率は高くありません。
理容室だけに一本化してはいけませんか。
一本化して問題ありません。カットもパーマも受けられます。決め手は店ではなく担当者の得意分野なので、今の髪型に満足しているなら美容室を軸に残し、輪郭だけ足すほうが失敗が少なくなります。
理容室が初めてです。何と言えば伝わりますか。
「カットは他で切っているので、顔そりと襟足、もみあげ、耳まわりだけお願いします」で通ります。所要20〜40分、2,000〜3,500円の範囲に収まります。
まとめ
- カット・パーマ・カラーは、2015年からどちらでも受けられる
- 残っている違いは、カミソリを使った顔そりの1点だけ
- 料金差は全国平均で561円。店を決める理由にならない
- 両方の許可を持つ店は全国381件。1軒完結は現実的でない
- 印象を決めるのは眉尻・もみあげ・襟足・耳まわりの4か所
- 0週目に美容室で形、5週目に理容室で輪郭。追加は月1,000〜1,750円
- 顔そりは予定の48時間前まで。眉は「輪郭だけ」と伝える
整って見える人は、髪型を変えたのではない。髪の終わりかたを決めただけです。


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